第685話:メーティカ=メーティカ~暴力的な雨~
大粒の雨が窓を割らんとばかりの勢いで降りそそぐ、この程度で割れるようなガラスではないと思うけど、少し不安になる。
「世界、滅び、そうな?」
「そうですね、雨で滅んだ世界もいくつかあると聞きます。きっとその世界の人たちは今は戦々恐々としてることでしょう」
冗談はさておき、こう雨が強いとお客さんも来ない。
いやまぁ、普段からあんまり来ないんですけれどもね。
「いやぁ、すごい雨だね」
「こんな雨の中来たんですか?」
「馬鹿、じゃない、のか?」
私も馬鹿だと思う、降り始めてから外には出てないのでわからないのですけど、体の弱い人は死ぬんじゃないかな?って勢いの雨ですよ。
彼も結構体は丈夫そうなんですけど、腕赤くなってますよ。
「ん、ああこれ? いやー、すごいよ雨。鋼球が降ってるのかってぐらいの勢いだね。よくガラスとか割れないなぁって感じ?」
「まぁ、ここらは比較的安定した気候とはいえ、こういう天気がないわけでもないですからね、それなりのものを使ってますし」
死ぬほど暑くなったり、こんな雨が降ったり、滅多にないですが石や火が降ったりしますからね。
「そもそもこの雨なんなんです?」
「さぁ? どこかの世界で海でも死んだんじゃないか? 塩辛くはなかったけど」
「なめたんですか」
「嫌でも口に入ってくるよ、おかげで歯が折れるかと思った。あんまりおいしくもなかったな、ここの紅茶の方がうまい」
「それでここへ?」
雨水と比較されて癪だったので一発叩いておいた。
「……? じゃあなんで最初外に出たんです? こんな雨ですし家の中でおとなしくしてればよかったじゃないですか」
「そりゃああれよ、こんなやべー天気だったらテンション上がって雨粒を殴りに出るのは当たり前だろうよ?」
「そんなものですかね……?」
いや、無いでしょ。
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