第629話:トウロフ・モロコフ~無限湧き~
「魔物の湧く穴?」
ギルドからの召集(任意参加)のメールが来た。
「そうです、なんでも無限に湧き出してくるらしいですよ」
「それは、ありえないだろ」
無限に湧き出してくるという話はおかしい、間違いない。
「なぜです?」
「この世に無限は数あれど、命に無限は無いのがこの世界だ。尽きぬ命も、際限なく増える命もな」
誰の言葉だったか、まったく思い出せないが少なくとも聞いた話だ。
「そうは言ってもですね、無限有限問わずめっちゃ湧き出てくるのは事実なので、ハンターが交代で狩りに駆り出されているらしいですよ。そこそこ強めの魔物らしいのでギルドの方からの指名とのことです」
「まぁ、なんにせよ稼ぎ時ってことか」
「そういうことです、とりあえず行ってみましょう」
無限に湧くならそれはそれで都合よし、この世界の理なんざ俺らには関係なしとな。
「骨だな」
「骨ですね」
現場に様子見に来たところ、大き目の洞窟からわらわらと動く人骨が湧き出ていた。
「アンデッドって奴か。にしても不死の兵隊だろうありゃあ、そいつがどうしてこうも無尽蔵なぐらいに湧いてくるんだ?」
そうそう死んでくるようなものでもあるまいに。
「さぁ、戦争じゃないですか? 昔どっかの世界の戦争でゾンビ兵器を使ったみたいで、ターミナルにゾンビが大発生したって話ありましたよ」
「ああ、あったなぁそんなこと。あの時は本当にひどかった、くせーし殺しにくいし次々湧いてくるしで、もう二度とごめんだな」
懐かしいようで思い出したくもないようで。
「討伐に参加してたんですか?」
「まぁな、しかし今回はゾンビじゃなくて骨だから少しはましだろう、砕いて肥料だ」
「ですね」
そろそろ交代の時間だ、準備しておこう。
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