第624話:ナバ・ルーテ~途切れた継続~
ついに途切れてしまった。
毎日毎日ずっと延々延々、途切れることなく続けていた日課の散歩。
いつの頃からか毎日この時間にこのコースでの散歩が自分のアイデンティティだと思得るレベルで続けていた朝の散歩。
それが単純な寝坊という理由で途切れてしまったっ!
なんとなく、何度も何度も途切れるとしたら何か天災とか事故とか自分ではどうしようもないような災害で途切れることになるんだろうと思っていたのに、単なる寝坊。
これは悔やんでも悔やみきれない、というか死ぬ。
気分的には死んだ。
はて、なんとなく似たようなことを経験したことがあるような気がしてきた。
そうそれは、まだ前の人生を生きていた時のこと……
吐き気がした、自分で積み上げて来た自分のすべてを自分で否定してしまうような出来事があった。
継続して長いそれが、僕の全てで存在の保証だった、それが何かはもう思い出せないけど、それ程に大きなそれを自分から捨ててしまった。
僕が死んだ原因はそれに絶望してしまったことだった。
少し思い出した。
僕は続けていた何かが途切れたことに絶望して死んだんだった。
なにをそんなに拘っていたのか知らないけど、馬鹿なことをしたものだと思う。
継続を途切れさせたのなら、また一から始め直せばいいんだ。
継続することは大事なことだが、継続することが目的になってはいかんのだ。
いつの間にか自身の中で生まれた戒めを半数する。
まぁ、今回のことは同じ時間にというルールだけをすこし緩めて今から散歩に出ることでよしとしよう。
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