第619話:オカラ・ファール~構造解析~

「どうなったんだそれ、壊した?」

「いや、外しただけだよ。そうなる構造みたいだったから」

 ペアで遺跡に潜っている時、通路に落ちていた小物を拾ってそのまま分解を初めてしまった。

「知ってるものなの?やけに手馴れてるけど」

「いや?初めて見たよ、もしくは知っているのかもしれないけど、心当たりはないかなぁ」

「どっちだ、はっきり」

「知らないものだよ」

「じゃあなんでそこがそう開くってわかったんだ?」

「見たらわからない?」

「そんな継ぎ目もない球で、四か所叩いて振って、ひっくり返してもう一度叩くと開くなんて、普通見てわかるわけないだろ」

「そっか、わからないのか……。わかった、もうわからない」

「お、おう?」

 こいつ、よくわからん能力いっぱい持ってるから一緒に連れてくると便利なんだが、変な奴なのは変な奴だからな、当たり方が難しい。


「ダメだ、開かない」

 鍵の掛かった部屋があって、いかにもお宝がありそうな装飾の扉で何とか開けたいんだが、俺の持っている技では、どうしても開かない。

 全く知らない、未知の構造の鍵はさすがに鍵開けに慣れていてもどうしようもない。

「ん、もしかしてお前これわかるか?」

「わか、わからない!」

「さっきの変な球開けたみたいに、なんとなくとかそういう勘みたいなのでわかるんだろどうせ!さっさと開けろ!」

「わからない!僕は普通だから!」

「はぁ!?わけわからん事言ってないでさっさと開けろー!」

 結局最後まで分かっていた風だったのになぜか開けようとはしなかった。


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