第613話:パーラ・ヨキ~時間が合わない~

 どうにもおかしい。

 いや、おかしいことは何もないんだが、むしろ人から見たらおかしいのは俺のほうかもしれないんだが、時間がどうしても合わない。

「何度計算しても一日が三倍無いと実行不可能だな?」

「そうだな、計算がおかしいといいな」

 これから一週間のスケジュール表を見て、なぜか同じタイミングで同時進行不可能な予定が5つほど並行して入っている。

「おかしいのはこの世界じゃないかな、ほらよく言うだろ」

「この世界は確かにおかしいが、今おかしいのはお前の頭だ」

 そうか、やっぱりおかしいのは俺か。

「どうしたらいいと思う?」

「どうするもなにも、諦めるしかないだろうよ」

「あきらめるなんてとんでもない、どれも諦めたら全部が台無しになっちゃうじゃないか」

「じゃあ全部を諦めてくれ、そうすれば話は終わりだ」

「そうもいかないから困ってるんだろー、絶対どうにかできるって諦めたら終わりだってこれ」

「終わってしまえ」

 そんなー。

「時間が3倍、できれば5倍あれば何とかなるんだけどなぁ、ならないかなぁ」

「そういえば、聞いたことがある」

「何を?」

「時間の流れ方がおかしい場所の話だ、そこなら5倍とか10倍とか時間があっても不思議じゃないんじゃないか?」

「どこにあるんだよそれ、詳しく教えてくれ」

 そこなら、もう少し予定を詰められる。

「確か、どっかの探検家かなんかが見つけたとかなんとか、小さくニュースに出てた気がするが」

「よし、じゃあまずはそれを調べに行くか」

「スケジュールが限界以上に詰まってて時間がないんじゃなかったのか?」

「その場所さえ見つかれば全部問題解決じゃないか!急がないとな!」

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