第575話:カラサブ・ゴルン~魔導推進エンジン~

「はいよーエンジン降ろして」

「オーライオーライはいオッケー」

 車両から魔導エンジンが降ろされる。

「これ、何推進ですか?」

「そうだなぁ、これは水だな」

 ああ、確かにあの色の魔石は水が出るやつだ、一つしかついていないし蒸気推進とかそういうのではないらしい。

「水推進ってめっちゃ効率悪いイメージあるんですけど、どうなんですか?」

「まぁ、最悪だな。魔石使ってもあれだけの車両を動かすのにどれだけの魔力がいるんだろうなぁ、一時間トップスピードで走るだけでも……」

「金持ちの遊覧船とかで使われてるんだよ、スピードが出ないからな」

「ああ、そういう……?」

「なんだ、魔導エンジンの推進方式に興味があるのか?」

「ええ、一応」

「よしよし、今日の仕事が終わったらいろいろ教えてやるよ」



「エンジンの種類は本当にいろいろあってな、エンジンと言っても化学燃料を燃やして回すものもあれば、魔力変換した動力を回転させたり反発させたり使ったり噴進だったりといろいろある。レアな奴だと空間掘削推進とかもある、こいつはよくわかんねぇな」

「空間採掘……?ポピュラーなところだと他に何があります?」

「一般的な自家用車とかのは反発式かなぁ、こう地面と反発するエネルギーを作ってだな、地面との摩擦をゼロにしたり反発の向きをいじって加速させたりだな」

 親方は身振り手振りでなんとなく地面との反発で進むイメージを伝えてくる。

「あとは高濃度魔力を適当に熱とかに変換して指向性を持たせて噴出させるやつとか、まぁロケットとかがこれだ。魔力じゃなくてもいいが、重さとかの問題で魔力式が採用されることが多い」

「はぁ」

「あとそうだな、ほかに意味わからんしネタ以外の何物でもないやつだと、製麺機が積んであって麺を噴出する勢いで走る船とかな、これがほんとの流しそうめん!てな?」

「はぁ、」

 聞いたのはこっちだけど、だんだんとマニアックな実用性の皆無な話になってきてだんだんと聞いたことを後悔し始めた。

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