第519話:ポカス~知らない人と話す~
「やぁ、今日はよろしくね」
「あああ、はい!よろしくお願いします!ポカスです!」
あああ、緊張する……
この遭遇会に参加するのは初めてで、初対面の人と雑談するなんて、なんでこんなところに来てしまったのだろうか。
「ポカスさんね、名乗ってもらって悪いけど僕は名乗らないタイプだから、なんて呼んで貰ってもいいよ」
名乗る必要ってないのか、失策という感じだ。
情報アドバンテージを奪われてしまった。
「じゃあ、【ああああ】さんで」
「ああああ、ね。まぁ何でもいいけど、その様子だとポカスさんは遭遇会は初めてなのかな?」
「どうでしょうね、はじめてに見えます?」
だめだ、これ以上情報をやりたくはない、情報アドバンテージに差をつけられたくはない。
「初めてだと緊張するよね、まぁ初回のおすすめは話すよりも参加費分飲み食いしたりするのがいいよ」
「……」
これから一言もしゃべらない、決めた!
……なんだろうか。本末転倒みたいな言葉が頭をよぎったけど、たぶんそういうものなのだろう。
「まぁ、注文しておこうかな」
ペンパーンという少し歪みのかかった音が鳴るベルを鳴らして注文を送信するその手はだいぶ慣れていそうだった。
「さて、料理も来たし食べましょうか。話たくなったら話してくれればいいですから」
「…………」
一応運ばれてきた料理は食べる、もったいないし。
「あ、おいしい」
「でしょう、僕が好きな物を注文しただけなんですけど、お口に合ったようでよかったです」
「……むぅ、甘くてとても良いです」
ちょっと、悔しい。
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