第516話:ボルバー^ダム~本物の偽物~

「君、偽物だろう」

「え、偽物って何の話?」

 突然だが、偽物扱いされてしまった。それも知らない人から。

「しらを切るんじゃない、わかってるんだ。君は偽物のボルバー^ダムだ」

 本当に何を言っているのかわからない。

「確かに僕はボルバー^ダムだが……、偽物じゃない。本物のボルバー^ダムだよ」

「何……?まて、君が本物?じゃあ偽物のボルバー^ダムはどこへ行ったんだ」

「本物も偽物もこのボルバー^ダムは僕だけだと思うけど。そもそも、君は本物の僕を知っているのかい?僕は君を知らないんだけど」

 一体こいつは誰なんだろう、一度も見たことがないと思うんだけど。

「僕かい?僕は本物の偽物のボルバー^ダムさ」

「本物の偽物の……僕?」

 全く何を言っているのかわからない。本物の偽物のボルバー^ダムってなに……?

「えーと、本物の偽物のボルバー^ダムが何の用?偽物のボルバー^ダムを探しているのかい?」

「そうだ、僕は偽物のボルバー^ダムを探している」

「君が偽物のボルバー^ダムなんじゃないのかい?本物の偽物なんだろう?」

「いや、僕が探しているのは偽物の偽物の方のボルバー^ダムだ。つまりは僕の偽物だな」

 わからない……

 いつの間に僕の偽物が現れていてその偽物が現れていたんだ……

「僕に聞いても偽物の居場所はたぶんわからないよ、見かけたら教えてあげるから他を探しに行った方がいい」

「そうか……、邪魔したな」

 そういって本物の偽物のボルバー^ダムは去っていった。

 なんだったんだ。




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