第451話:スバ=カメ~深海の穴~

 コポ、コポ、コポ、コポ

 小さな破裂音が短く連なる。

 小さな空気の玉がはるか遠くの水面に向かって飛んでいく。

 海底に亀裂が入っていて、そこから空気が漏れ出しているのだ。

 ということはこの下には空間があって、暫くすると水が海底を砕いて空間も沈んでしまうだろう。

 経験上こういう海底に現れた空間には何かがある。

 というか、大抵何か(生物でない場合もある)が転生してきたときにできる空間だ。

 しかし、残念なことに大抵の場合は発見されるのは水圧に押しつぶされた残骸だけだ。

 残骸を見た感じ、いいものであることが多いんだが、どうにかして回収できないだろうか。

 普通に穴を開ければ一気に水が流れ込んで大抵の物は潰れて壊れる。

 壊れないことに賭けてやってもいいが、分の悪い賭けだ。

 とりあえず、しばらくは穴が開かないように海底周囲の空間を固定して考える。

 こう、海底の中の空間の周り丸ごと削り出して海面まで持っていくか?だめだな、たぶん削り出すときに壊れる。

 周りが分厚いから何とか保てているようなものなのに、削り出したりなんかしたら間違いなく壊れる。

 どうしたものか、と考えているとそろそろ空間固定が解けそうになったことに気づき、もう一度かけ直す。

 こう、空気の柱を海面から延ばしてくるのはどうか、それでこの場所の周りから水を除ければ安全に取り出せるのではないだろうか。

 たぶんこれは成功する。

 出来ればの話だが。

 もしこの深海まで空気の柱を伸ばそうと思ったらとんでもない量のエネルギーがいる。

 それは僕の持っているデバイスでも、僕の持っている魔力でも賄えない。

 さて一体どうするか。

 と、そろそろ空間固定が解けそうだ、とそこで気づく。

 これでいいのでは?

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