第441話:カルメン.アライド〜突き刺さるバス〜
古く入り組んだある街というのはいいものだ。
意味のわからない橋の配置の1つにも想像もつかない理由があり、知れば納得できる歴史がある。
だから、きっとこの道のど真ん中に突き刺さるこの朽ちたバスにも理由や歴史があるんだろう。
道の真ん中に縦に突き刺さるこのバスは、いつからここにあるのかもわからないぐらい朽ちていて、辛うじて風化しづらい骨組みが全体を支えて直立している状態だ。
もはや、この街にとってここにこのバスが突き刺さっているのは当たり前の事になっているのか、バスを避けて車線が引かれている。
周囲の建物もこの場所は道が膨らむので、へこんだ並びになっている。
いや、元からこういう形の道にバスが突き刺さったのかもしれない。
真実を探るために、誰か知っている人がいないか探してみることにしよう。
「あのバスがなぜあそこにあるか? さぁ、知らないねぇ。私がこの街に来た時には既にあったと思うよ。気にしなかったのかって? いやぁ、この世界に来たばかりの頃は何もかもが不思議だったから、何を気にしていたのか一つ一つ気にしている余裕がなかったからなぁ」
「バス? あれバスっていうんだ。何のオブジェなんだろうなぁ、ってずっと思ってたんだよね」
「知らないねぇ」
「さぁ?なんか事故の後放置されてるんじゃないか?」
情報がなさすぎる。
唯一わかったことはあのバスが少なくとも80年以上前からあの姿であそこに突き刺さっているってことぐらいだが、何故あの場所にああいう形で突き刺さっているのかはわからなかった。
しばらくこの街で暮らして探っていこうと思う。
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