第434話:イリジア・ローメロス~信号機~

 困るなぁ、本当に困る。

 あんなところに立たれちゃ困るんだよ。

 車内のモニターに表示されているのは一本の信号機。

 赤と緑のランプがある、白いポールには錆びが浮いている、設置されてからもう15年程経っている信号機だ。

 ここからの距離は大分離れているが、あの信号機が緑を示さないと僕は発進できない。

 あそこは加速路の終端で、あの信号機は加速路の中に人がいないことを示すためのものだ。

 そして緑になるのを待たずに発進すれば当然のように加速路内の人はミンチになる。

 種族によってはこちらも死ぬ。

 本当なら加速路丸々封鎖しておきたいところだが、そんなことをしたらとんでもない金が飛ぶ。

 物価が安いこの世界でもかなり飛ぶ。

 普段あんな場所に人なんて来ないのに、なんで今日はいるんだ。

 こりゃあ、遅刻確定だな。

 しかたない、一眠りしている間に退くだろう。

 待たせる予定の奴に連絡をいれて、一眠りすることにした。

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