第428話:ララカ‐アクルスニア~イジメの決断と~

 受け持ちクラスにいじめがあることを相談したら、その子をクラスから外すことを提案された。

 それは、どうなんだろう。

「お前は教師なんだから、被害者だからとイジメられている側に付くもんじゃない。解決が目的ならどちらが悪いかなんて考える必要はない、今考えるべきはどうしたら加害者と被害者の関係を解消して、クラスに平穏をもたらすか、もしくは今回の件を教育の糧にするかだな。個人的にはこういうのはどんどん教育の糧にしていくべきだと思うが」

「…………」

 何にも言えない、つらつらと並べられる正論のようなものを理解するので精一杯だ。

「例えばこの場合、加害側は集団内に落ちこぼれがいて足を引っ張られているから排除したいという意図でイジメていると見える。まぁ、それは主格のこいつだけで、取り巻きはそこまで考えていないみたいだがな。主格のこいつは成績に加点してもいい、多少やり方は良くないから少し控えめにな」

「それは流石に……」

「そうだろうな、お前の倫理感ではそういうだろうと言うだろうということは推測できていた。言うなれば、今回は被害者になっているこいつをそいつが放置した場合、クラス全体はじわじわとダメージを受けていた可能性を無意識的に感じ取り行動しているんだろう。であればこいつには高評価を付けていい。ただ、今回の被害者を排除してもこいつが加害者になり続けるのであれば、次に排除するべきはこいつになる。そこまで言ったら権力を持っていると過信していることになるからな」

「なるほど……」

「とりあえず、今回のこの件に関して僕からお前に言えることはこんなもんだ。あとは自分で考えて判断しろ。もう一度だけ言うが、お前は教師なんだから、善悪のことは忘れろ」

「ありがとう、また何かあったら相談するわ」

「先に今回の件を片付けたら報告しにこい、僕がお前の判断を評価してやるからな」

 相変わらず、この人は厳しいし、一般的には悪人と言われるかもしれない。

 だけど言うことは正しいく、正論だ。

 さて、どうしようかなぁ。

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