第424話:ジャロン=ハマス~転がる玉の行方~

 コロコロコロと、どこからともなく小さな玉が転がってきた。

 小さなその玉はどこにぶつかることなく、人の歩く程度の速さで転がっていく。

 僕はそれをなんとなく、なんとなく追いかけてみることにした。


 玉は斜面でもない平らな道をコロコロと転がっていく。

 動力とかは、たぶん誰かが魔術的な何かを与えているんだろう。気にすることではない。

 とりあえず、玉がどこへ向かっているのだろうかという、単純な興味を持って玉を追いかけることにする。


 コロコロと玉は転がり、障害物は器用に避け、行き止まりには当たらないように道を選んで転がっている。

 誰かが操っているのか、そういうプログラムが組まれているのかはわからないが見ていてなかなか面白い。

 しかし、どこへ行くのか皆目見当もつかんな。


 玉はだんだん街の中心部へ向かっている気がする。

 だが、選ぶ道はあまり人通りの少ない、裏路地と呼ばれるような道を選んで転がっているようだ。


 だんだんどこへ行くか見えてきた気がする。

 街の中心にある広場、方向的にはそちらへ向かっているらしいことが分かった。

 ただ、人通りを避けて遠回りをしたりする動きも見せる。

 どういう意味がある動きなのだろうか。


 だんだん、目的地らしい広場が見えてきた。

 広場にはだいたい5人の青年がいて内2人が目の前で転がっている玉とおなじ物を持っていた。

 どうやらこの玉を転がしていたのはあの集団らしい。


 なんだかんだで玉の目的地がわかってしまった僕は、玉への興味を失ってしまい家に帰ることにした。

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