第423話:オオロール・レクロト~沈む太陽~

 地平の果てに太陽が沈んでいく、そんな景色を最後に見たのはいつのことだっただろうか。

 いや、問うまでもないか、それは死ぬ前のことだ。

 この世界の太陽は沈まない。


 夢を見た、朱く染まる空から同じ色に染まる海へと沈んでいく夕日をただ眺めているだけの夢だ。

 起きたときまだ朝は早く、空は薄赤い太陽が暗くあるだけだった。

 この光が窓から入り込んでいたせいであんな夢を見たのだろうか、赤いと言っても夢の朱い赤とこの夜の紅い赤は結構違うんだけど。

 久しぶりに、あの朱い夕日が見たくなってきた。


 どこへ行けばあの朱い夕日を見ることができるだろうか。

 海、へ行っても太陽は沈まないか。

 せめて朱く染まる空が見たい、ちょっと調べてみようか。

「朱い、夕日について調べて」

 携帯端末デバイスにそう伝えて検索をかける。

「朱い、夕日の検索結果が500,569,113件見つかりました、絞り込みに有効な追加単語は、場所、時間、物語です」

 携帯端末デバイスが検索結果を返してくる。思ってたより多い。

「じゃあ、場所を追加して検索」

「朱い、夕日、場所の検索結果が8,644件見つかりました、内容の重複を弾くと36件まで絞り込めました。一番人気の記事を表示しますか?」

「じゃあそれで。記事に含まれる位置データとそこの情報だけ出せる?」

「了解しました、どうぞ」

「えーと、夕日研究所。何この世界、そんなんまであるの?ここって、見学できる?」

「夕日研究所の見学可能時間は14時から16時です」

 だいたい夕方か、結構凝ってる施設なのかな。

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