第393話:リクリロ・ロア~狂人の証明~
「狂人は、自分のことを狂人だとは言わない。故に君は狂人に憧れて自称しているだけの普通の人間だよ」
よく言われたものだ、自身のことを狂人であると名乗ると十中八九この返しが来た。
はて、この返しが真実だとすると、自称狂人の全ては普通の人間であるということになる。
そこまではいい、狂人は自身を狂人とだとは認識できない、というのも一見筋が通っているように見える。見えるだけだが。
では自身を狂人であると証明するためにはどうすればよいだろうか。
狂人の自己証明が認められないのであれば、他人が「彼が狂人であることを保証する」とすればよいのだろうか。
そうなると、狂人証明書という公文書を発行し、携帯して「自分は狂人です」と紹介するときに提示すればいいのだろうか。
しかしだ、あくまでそれは自己証明の保証を他人に依存しているだけであって、先ほど挙げた理論から考えると「狂人は狂人証明書を発行したりはしない」と言われるだろう。
「狂人は自分のことを狂人とは言わない」という普通の人間代表の発言を前提に置けば、そもそも自分を狂人と紹介するという時点で狂人ではないということになるわけで、事故証明は不可能であるということになってしまうのだろう。
それならば、他人に紹介してもらうというのはどうだろうか、それならば「彼は狂人なんだ」と紹介してもらえば「狂人は自分のことを狂人だとは言わない」というルールとも矛盾しない。
うん、これは完璧な理論なんじゃないだろうか。
もしかしたらこの理論湖地区の段階で「狂人は自己を狂人と認識できない」というルールを持ち出されるかもしれないが、知られなければ関係ない。
「どうだろうか、君には僕が狂人であることの保証人になってほしいんだけど」
「お前が狂人だってことはよくわかったけど、ごめん被る」
自称狂人と大差ない発言しかしてなかったと思うが、なぜ狂人であると認められたのだろう、
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