第383話:ライマリー=ナーズⅧ~空の向こうの国~
この国に来てから数日、翻訳機を通してしか会話できないから断片的な情報しか手に入らないが、大体の状態はわかってきた。
どうやら、空のこちら側は戦争をしているらしい。
戦争の目的はいまいちわからないが、向こうではターミナルに当たる場所に拠点を作り、転生者を教育し、戦力とする。
そして、どういう基準で敵になったのかもわからない敵国と殺し合いを続けているらしい。
国同士で結託して研究をしないから、技術レベルは向こうとは比べものにもならない程低い。
と、言う話をこの基地の副官のおじいさんから聞いた。
いったい彼は何者なのか、向こうのこともよく知っているみたいだったし、以前は向こうに住んでいたのかもしれない。
記録に残っていない空渡を成功させていたのだろう。
それとも、空に消えたとされていた誰かの一人か。
そういや、帰ってきた人がいないから誰も空渡に成功していないという話だったか。
先程は聞きそびれたが、また機会があったら聞いてみるか。
件の副官のおかげで俺はこの基地の中をある程度自由に歩き回れるようになっていた。
俺を銃殺しようとしたあいつは不満みたいだが、さらに上からの命令なので渋々俺を放置している。
うん、気分がいい。
気分はいい、がこれからどうするかだなぁ。
自由なのは楽でいい、しかし、ただ自由にしていていいということもあるわけがない。
制限はあり、それが結構な問題になっているのだ。
それは、帰らせてもらえないということ。
船は抑えられてしまっており、いくら相手の攻撃が全部持っている護符の効果で弾けると言っても一人で数人を相手にするのは厳しい。
帰れなければ空渡成功を証明することもできないし、きっと俺は空に消えて死んだことにされてしまうだろう。
だからできるだけ早く帰りたい。
うまいこと、ここの内部に協力者を作って船を取り返さなければならない。
さて、どうするか。
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