第369話:ニコス=ロード~ブペペペペ~
ブペペペペと小さな破裂音を繰り返す二輪車で走る。
これは100年程前の最新技術で作られたレトロ車で、今も当時も珍しい化石燃料を燃やしてタイヤを回すタイプ。
舗装されていない道路は走れないし、排気量も少なく、速度も大して出るものでもない。
あと、化石燃料を燃やして走るのは、少し臭い。
とまぁ、挙げようと思えばいくらでも良くないところを挙げられる二輪車だが、私はそれが好きなのだ。
読めない異文化圏の文字で描かれたロゴマークが張り付いた赤いボディのそれにたくさんの荷物を載せて、私は今日も旅をする。
ブペペペペ
街と街を繋ぐ、殆ど使われていないまっさらでひたすらまっすぐな道路を小さな破裂音をリズミカルに鳴らしながら走っていく。
シュィィィィイン――――
様々な技術を駆使してあらゆる抵抗をほぼゼロにした高速車が殆ど音もたてずに地面を滑るように飛んでいく。
実際目で追える速さではないので、追い抜かれたときの微かな音と、引き伸ばされたテールランプの光で追い抜かれたことに気づく。
あんなに急いで次の街へ向かうぐらいなら、最初からワープゲートを使えばいいのにとも思う。
たぶん、今追い抜いていった車ならきっと、昼前には次の街に着くのだろう。
私は、私も昼前には着けるだろう、たぶん、10日程後の話だけど。
そう、太陽はいつまでも傾かないから忘れかけていたけど、もうそろそろお昼の時間だ。
道の端に二輪車を停めて、積んだ荷物からマットとお昼ご飯を出す。
二輪車旅行中に道端で食べるご飯はどうしても簡易な携行食のブロックフードになりがちなのどうにかしたいなぁ、とか、次の街で美味しいもの食べたいなぁ、とか考えながら少し休んで、また二輪車にまたがる。
ブペペペペ
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