第349話:キイクーメグロ~ロールプレイングゲーム~
待ちに待った大好きなRPGシリーズの新作、デカソロミアンⅦが出た直後、ソフトをDLしてアイコンタップで始められる状態になって、さぁやるぞ!と意気込んだ瞬間、ゲーム機が光り始め、私は死んだ。
死んだあと、いろいろとこの世界の説明を受けたけど、私にとって重要だったのはこの世界にはまだその新作RPGがないってこと、そしてこの世界でできるようになるのは当分先の話で、もしかしたらできるようにはならないかもしれないということ。
絶望だ、私はこの世界で殆ど望めない希望を最低限の糧として死ぬまで生きていかなければならないのだ。
他にもいろいろな説明は聞いたが、だいたい覚えてなく、気づけばあてがわれた自室のベッドで横になっていた。
この世界に来たときはまだ昼だったはずだけど、いつのまにか外は暗く、やっと起きる気になった私は部屋の明かりを点けて、部屋のなかを見渡した。
あれ?と気づく。
この部屋、なんだか見覚えがある。
私の元の部屋じゃない、世界観が違う。
この雰囲気は、Ⅶが出るまでやり込み続けたデカソロミアンⅥの拠点だ。
画面の向こうにずっと見ていたこの部屋は、私の想像そのままで、もしかしたらゲームの中の世界に来てしまったんじゃないかと思うほどだ。
なんでこんなことになっているのかを懸命に思い出す。
たしか、そう、支給される部屋は私の記憶を元に最も落ち着ける部屋を用意するとかなんとか言われていた気がする。
なるほど、私の最も落ち着ける部屋は自室よりもこのゲームの中の拠点を元にした部屋というわけか。
なんだか、本当にゲームの主人公になったような気がしてきて、楽しくなってきた。
そうだ、他に言われたことを思い出さなければ、ゲームでは序盤がチュートリアルになっていて、だいたいの生活の仕方や当面の方針がそこで提示されるものなのだ。
呆然としていて、殆ど聞き流した説明をなんとかして思い出す。
そうだ、最初にもらったカード、これはお財布で最初に買うべきは
買える場所の地図ももらっている。
そうだ、そう、まずは
地図を頼りにして売り場へ向かう。
私は今、信じられないものを見ている。
そこにはパッケージは少し違うが、デカソロミアンⅦが置いてあるのだ。
なぜ、ないはずのデカソロミアンⅦがなんでこんなところにあるんだろう。
端には新作の表記、出たばかりの新作だ。
気づけば私は
肝心の
後悔はない、ゲームなら詰むような行動だが、詰み回避のためにまたお金を追加支給なり
そんなことより今はデカソロミアンⅦをプレイすることの方が重要だ!
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