第254話:カロック-メリスⅡ~波に揺られて風に吹かれて~
ゆらりゆらりと波に揺られながら進む。
なんとか食糧を貯めて、船を作ってあの島から脱出した。
今は作った船で流されて流されて、どうにか大陸を目指している。
目指せているのかは定かではないし、そもそもこの異常な空間にあの島以外の土地が存在するのかもわからない。
わからなくてもあの島に死ぬまでいるよりも、船で海に出た方が建設的だと思ったのだ。
そうして、今日もまっすぐな水平線の向こうを目指してゆらりゆらりと船で流される。
この船は結構な自信作で単に丸太を繋ぎ合わせたイカダではない。
とにかく時間だけはあったから、凝ってみた。
流線形でかっこいい船体に、快適に過ごせるようツタで編んだ
流石に平らなイカダで暑い日差しをずっと受けながら漂流するなんてことはしたくないしな。
たぶん冬が来る前に別の大陸を見つけることができるだろう、流石にそれ以上の期間を漂流し続けるのはきつい。
やったことはないから確証はないが間違いなく死ぬ。
できればやりたくもない。
まぁ、やることになるかどうかは波任せ風任せの運任せになっているんだが。
今は釣りをしながらただただ流されているだけだが、そのうち沈まずに浮かび続けている太陽にでも向かって進めてみようと思う。
指針を決めて進むのは船旅では重要だと聞いたことがあるが、この船には舵がない。
作った時にどっちに行くかも決めてないし、波任せでいいかと思って作ったのが良くなかった。
出発して数日経ってやっとそのことがヤバかったことに気づき、もうあきらめた。
今日も釣り糸を海に垂らしながら漂っている。
島を見つけたら船を改造して太陽の方角を目指すさ。
島を見つけた。
結構大きそうな島だが、大陸というわけではなさそうで文明があるようにも見えない。
以前いた島と同じような無人島なのだろう。
木も生えているし、ちょうどいい、この島で船を改造しよう。
上陸して、少し散策していたら何者かの作業跡があることに気づいた。
干し肉を作った跡や、木材を加工した跡。
何者かがこの島から脱出したのだろう。
というか何者かではなく、俺自身だが。
この島は先日出発したあの島だった。
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