第189話:ルルニア=ローテルⅦ〜我は王ぞ〜

「ここはどこだ! 我が身に何が起きた!」

 転生卵から出て来て開口一番これだ、混乱しているのだろう。

 よくあることだ。

「まず、私から説明させてもらいますね」

「なんだ貴様は、見ない顔だな。新人のメイドか?」

「いいえ、違います。私は死後の世界で死者の案内をしている者です」

「なにぃ? 死者の案内をしている奴が我に何のようだ」

 態度がデカい、たまにいるんだこういうのが。

 生前の地位が高いとこういう態度になりやすい、他人に疎まれることが多そうだ。

 まぁ、

「そりゃあ、あなたが死んだからに決まっているでしょう。あ、死後の世界では生前の地位など関係ありませんからね、皆と対等なのでお気をつけを」

 誰に対しても私の対応は変わらないのです。

「なんだとぉ? 我は第27代イクリフィ国王、カロネトだぞ! その国王である我が、他者と対等だと? 馬鹿を言うな!」

 ああ、王様だったんですかこの人、さぞ暴虐の限りを尽くしたのでしょう、最後は暗殺でしょうか。

「そうは言っても、王族用の特別なコースとかはありませんし。そもそも、ここはあなたの国ではありません。あなたの権力を保証するものも、助ける者もいませんよ」

「なんだと?」

 周囲を見回してやっと気づいたらしく、青ざめた。

「私の話を聞かないというのであれば、そうですねぇ、もう少し話を聞かせるのが上手い人、具体的には、こんな人を呼びますか」

 立体映像で、ターミナル職員一、筋骨粒々で威圧感の強い人の映像を出す。

 もちろん実際に呼ぶこともできる。

 そして、話をするのも聞くのも上手い、正真正銘の話を聞かせるのが上手い人だ。

 あと料理や裁縫も上手い。

 それはいい。

「できれば呼びたくないんですよね」

 彼も忙しいですし。

 私のそういう発言を勘違いしたのか、青ざめたまま言う。

「ふん、貴様でいい、我の現状とこれからについて話すことを許可してやる」

 まぁ、誰でもこんなものですよね。

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