「さて、何から話しましょう、聞きたいことはありますか？」

　隠れていた強大なエルフォム（電獣）を誘き出してくれた、別の組織の少年を誘って喫茶店に来た。

「あんたは電獣（ビリ）を狩る者なのか？」

「ビリ？　ああ、エルフォムのこと、あなた達の組織ではそう呼ぶんだったね、うん、さっきも言ったけど僕はエルフォムを狩るものです、ん、今はあなたに合わせて電獣（ビリ）で統一しましょうか」

「助かる」

「電獣（ビリ）を狩ると言っても僕達は彼らの特殊な性質を利用しているのです」

「特殊な性質？」

「彼らは電気を食べるとは言いますが、彼らの存在事態が電荷を発生させる、自然発生している電気の精霊のようなものなのです」

「精霊、そんな魔法的な存在をこのテルヴィアで利用しているんですか？」

「いえ、精霊のような存在ではありますが、あくまで偶発的に意志を持った電荷、という認識です、魔力反応もありませんし」

　まぁ、魔力反応がないというだけで、発生させている電荷をどこから持ってきているのかは謎のまま、利用しつつも研究対象になっているというのが現状なのだけど。

　特にこの辺りは部外者に説明することもないだろう。

「そもそも、電獣（ビリ）は電気が存在するところならばどこにでも転生して来て、異常な活動をする電気という存在なので、侵入を阻止するということが不可能なのです」

「なるほど、魔力反応がなければテルヴィアとしても利用するのに問題はない、ただし人々に危険が及ぶから漏れ出したのは駆除すると、そういうことか」

「そういうことですね」

「それで、俺達の組織と協力したい？」

「はい」

「俺の装備では手も足もでなかった超級電獣（ビリ）を一瞬で消し去ったあんたが俺達と協力して何を得るというんだ」

「電獣（ビリ）はあなた達の世界で埋れたと聞きました、そんなあなた達の協力があれば、より電獣（ビリ）の研究が進むと判断したのです」

「なるほど、それであんたらは強力な武器を提供してくれると」

「そういうことになりますね」

　先程、僕達の所有している対エルフォム兵器の威力は見てもらえたはずだ、すんなりと頷くだろうな。

「まぁ、俺だけでは判断できない、上に相談してから返事をするよ」

「そうですか、では、決まったらこちらへ連絡をお願いしますね」

　ああ、組織だからね、末端の戦闘員が一人で他組織との協力など勝手に承諾できないか。

「ああ、じゃあ近い内に連絡する」

　そう言って彼は席を立った、頼んだ飲み物には一切口をつけていない。

「…………個人的にはあんたらには協力なんてしたくないんだ」

　彼が店を出るときに、ぼそりとそう言ったのが聞こえた。

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