第158話:メロベルⅡ〜希望潰える〜

 とんでもない悲報を聞いてしまった。

 聞かなかったことにしたい、聞かなかったからといって何かが変わることはないのだけど、それでも聞かなかったことにしたい。

 なんでも、タマコノで私を殺してくれたあいつが、不死の呪いを受けたとタマコノからの転生者から聞いた。

 あいつは、何をしているんだ。

 早く死んで私のことを殺しに来い。


 それにしても不死の呪いを受けるとは、まぬけめと、言いたいところだが、私もかつては不死の呪いを受けていたため、言えないな。

 それを解いて私を殺したのがあいつだから、自身の呪いを解くことぐらいできるのだろうが、あいつのことだから解こうとしないのではないか。

 あいつには自分というものがないからな。

 誰かが生きていることを望む限りあいつは死なないだろう。

 それにしても、困ったな。

 これではいつまで経ってもあいつが私を殺しに来ないではないか。

 どうしたものか。

 この世界からタマコノへは干渉できないし、どうしようもない。

 こうなったら、自力で死ぬ方法を探さねばならないようだ。

 どうしたらいいだろうか。


 とりあえず、グローバルネットの質問サイトで質問してみることにした。

『死にたいんですけど体が丈夫すぎて死ねません!どうしたらいいですか?』

 と、こんな感じでいいだろう。


 数日後、携帯端末デバイスの通知が鳴り、見てみるといくつか回答が付いていた。

 さすが異世界、不死だったけど死んだ者が多くいるのだな。

 さて、肝心の回答はどんなものがきているのか。

『体が丈夫というだけならば最高の破壊力を提供している施設がありますよ→[施設サイトへのリンク]』

 うーん、この施設は前に行ってみたことあるんですよね。

 ダメだったけど。

 次の回答を見てみますか。

『外皮が丈夫すぎるというのならば薬で死ぬということもできるのでは?』

 薬、死ねる薬というものもあるのかな?

 あ、毒か。

 うーん、毒かぁ。

 飲んでみたことはないなぁ。

 買いに行ってみようか。


「毒?」

「ええ、毒を売っていただけます?」

「うちは薬屋だけど毒は扱ってないよ」

「ないのですか?」

「そりゃあ、無いよ」

 無いとは思わなかった。

 さて、どこへ行ったら買えるのだろう。


 その後、毒を買うことができる場所を探して走り回ったが、最終的にテロン街の秘薬屋にたどり着き、やっとお目当ての毒を買うことができた。

 家に帰ってさっそく飲んだ。

 さて、これで死ねるのだろうか。

 安楽死用の薬で眠るように死ねると聞いたが、寝ればいいのだろうか。

 明日を迎えることはないだろうと、「さよなら世界」と呟き眠る。



「…………また会ったわね世界」

 恨めしさを感じながらもそう呟いた。

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