第142話:皇勇人Ⅸ〜飲み会文化の異世界〜
「
「
「乾杯!」
先日、行きつけの喫茶店で一緒になった人た達と飲み会をしている。
飲み会という文化がある世界無い世界、様々あるみたいだし、ある世界でも乾杯の音頭の言葉も違う。
一応共通語で乾杯を意味する言葉もあるけど、みんな母国語で乾杯を意味する言葉を叫んでいた。
あ、俺の飲み物はお酒ではないよ、中身も未成年だし肉体的にも5歳だし。
この世界の法律には成年の規定も飲酒の規定もないけど、まだお酒はいいかなって気分だ。
他の人は大体お酒のようなものを飲んでいるけど、よく分からない色の飲み物を飲んでいる人もいる。
場所は流石に喫茶店ではなく、居酒屋に相当するお店で、メーティカさんは来ていない。
こうやって集まってみて思ったけど、あの喫茶店の常連さんの平均年齢高いなぁ、子供の見た目なのは俺だけで、大体おっさんだ。
話とか合わないんじゃないかな。
年代も違うけど、そもそも世界が違うしなぁ。
そういえば、この世界にきてから世間話なんてメーティカさんとしかしてない。
いや、魔物ハンターの人とも多少話をするか。
コミュ障じゃないけど、さすがに世界単位で接点がない人と楽しく会話できるかどうかは自信がない。
「おう坊主、飲んでるか?」
声をかけられた。
たしかこの人は、探偵の人?
陽気な感じでたまに喫茶店で見かける。
まぁ、大体あのお店で見かける人は陽気な人が多いのだけど、この人は特に陽気だ。
そういえば、最初にあの店に行った時にもいたな、見かける度に小突かれたりぶつけられたりしてる気がする。
マゾなのかな。
「飲んでますよ、ほら」
空になったカップを見せる。
「そうかそうか、もっと飲んでけ」
見せたカップにボトルから液体が注がれる。
あ、この人酔ってるんだ、これお酒かな。
別にお酒は飲んだこと無いってだけで嫌いというわけでもないからまぁ、いいか。
恐る恐る舐めてみると、これはうまい。
アルコール臭くないし、お酒じゃないのかな?
あ、でもなんかポカポカしてきたな。
やっぱりお酒だったのかもしれない。
あ――?
気づいたらいつもの喫茶店の中でポカポカのバリアみたいなのの中で寝てた。
「あ、目が覚めましたか? 昨日の夜、モンスさんが背負って来たんですけど、覚えてます?」
「えーと、」
確か、探偵のモンスさんに注いでもらった飲み物を飲んでみたところまで覚えてる。
その後は全く覚えてない。
「なんにも覚えてないです」
「ああ、やっぱり? モンスさんが飲ませたの、ちょっと強いエルシアルだったんですよ、慣れてないと気絶したり、記憶が飛んだりするので、最悪死ぬこともあって心配だったんですよ」
「え、死ぬんですか?」
「ええ、死にます。
確かに美味しいんですけど、慣れていない人には危険ですね」
そんなもん飲ませたのかあの人。
なんとなく、一気飲みの強要で急性アルコール中毒というニュースを思い出した。
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