第120話:ローパル・ナットⅢ〜気まぐれ魔機構技師〜
「飽きたー」
「はぁ?」
工房で、作りかけのおもちゃ、もといマジックアイテムを弄りながら呟く。
「おいおい、そのアイテムは依頼されて作ってるんだろ?おまえ、それを飽きたってどういう」
「なんというかー、面白味が足りないみたいなー?」
このおもちゃ、作っていてつまらないのですよねー。
「というわけなのでー、あとはノルノさんにおまかせ?みたいなー?」
どーせ、あとの工程は簡単なことしかないしー、ノルノさん程度でもなんとか納期に間に合うんじゃーないでしょーか。
先日もー、突然ワープゲートの敷設依頼とかされてー、面倒なことしてきたばかりなんですよねー、報酬はたんまり貰いましたけどー、気が乗らない仕事が続くというのはー、やっぱり嫌です。
「ちょっとーお出掛けしてきますー。その程度、やっといてくださいよー、報酬はー全部ノルノさんの好きにしていいですからー」
「え、まじかよ、じゃなくて、マジでこれほったらかしにしていくのか!?」
「では頑張ってー、いってきますねー」
あわてふためくノルノさんを置いて工房棟を出る。
さて、行く宛もなくふらーりと出てきてしまいましたがー、さてーどこへ行ってみましょうかー。
うーん、工房の人以外でー、仕事以外でー、縁があるところーとなるとー、あそこですかねー。
「どーもー」
「なっ、貴様どうやってここに」
「遊びに来たーみたいな?」
「どうしてじゃなくて、どうやってを聞いてるんだが?」
やった来たのはテルヴィアにある魔法の技術を科学的に流用しようという研究室、こないだ当たり券をあげた人たちのところですねー。
「どうやってって、この【惑わしさん】で私の存在を上書きして?」
「どうやってここに魔道具を持ち込んだんだ!ゲートで没収されるはずだろ!ここにも魔道具を検知する機械がある!」
「それはー、このー【魔力隠す君】で道具から出ている魔道具としての反応を遮断しているのですー」
具体的な話はー、魔法的な現実侵食反応をなかったことにする現実侵食を発生させてその反応を消す事を繰り返し、反応をどんどん小さくすることで機械のチェックも素通りさせることが出来るという、まー複雑な処理をしているわけなんですがー話が長くなりそうなのでしませーん。
「一般販売もされている、特殊遺跡探索の必需品みたいな?」
「よし、それを置いていけ、ここで調査して対抗できる機械を開発してやる」
「そもそもー、マジックアイテムは持ち込み禁止なのではー?」
「持ち込んでる貴様が言うな!」
いやー、退屈を紛らわすのにここはちょうどいいですなー。
「あっ、新しいアイテムのアイデアが浮かんだので帰りますなー」
「貴様は一体何をしに来たんだ…………」
「何やらお疲れー?」
「さっさと帰れ」
「ただいまー」
「おう、お帰り」
おやー、行く前に言ってたような泣き言が出ませんねー、ちょっとそわそわ?、これはもしやー?
「頼んでたお仕事ー、どうなりましたー?」
「お、おう、見てくれよ、どうだこの出来!」
予想はしていたのですがー喜々として出してきた割にはーすこーしばかりお粗末なできでー、まぁー、依頼の要求はー満たしてますしー、これでいいんじゃないですかーとかは言わずに、
「いいんじゃないですかー」と最後の部分だけ伝える。
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