第70話:ローパル・ナットⅡ〜大魔導協会主催大海横断レース前編〜
「いやー、いい天気ですねー、雨季も終わって気温もちょうどよい感じですねー」
「ああ、絶好のレース日和だ」
今日はー、大魔導協会っていうー、あらゆる世界の魔法技術を集めて研究しようっていう主旨で活動している機関が主催するー、大海横断レースの日なのですー、毎年ー雨季が明けて最初の青の日がレースの日として定められているのでー、その日に合わせていろいろな人たちが自慢のマシンを用意してきて、技術自慢をするというー大会なのですよー。
早い話が、うちの技術が全ての世界でもっとも優れてんぞーということを示す絶好の機会ってやつなのですなー。
「おいおい、今年もあいつら来てるぞ」
付き添いで来ているノルノさんが指し示している先にいるのは、テルヴィアの人たちですなー?
魔法技術を一切使わない技術を研究しているはずなのですが、何故か毎年この大会には参加してくるのですよー、あんまり結果はよくありませんがねー。
「今年はー、なにやら普段やる気にならない研究者が、やる気になっているという噂がー?」
「なぁに、科学だけの力で魔術工学の結晶に勝てるわけがねぇよ」
「なんでもー、その方とある世界では最強とまで呼ばれた魔術師らしいですよー?」
「なんでそんなやつがテルヴィアにいるんだ」
「さてはてー?」
『さーて!今年もやって来ました!大魔導協会主催!大海横断レース!』
「お、出場選手紹介か、今年はどんなマシンが出るんだろうな」
「多重言語翻訳機が新しくなってますなー」
「そこはどうでもいいだろ」
「技術者としてー、それもどうかとー?」
『エントリーナンバー1!ビーンデローン式魔法学会から、最高の魔法触媒とは鍛え上げられた肉体である!【
「確か去年あそこ、レギュレーション違反で失格になってたよな」
「地上からー、動力魔法で動かしてましたねー」
「今年は動力魔法の使い手を沢山のせて飛ぶみたいだぞ」
「魔力ー、彼らの場合は体力もですがー、無駄遣いというやつですなー」
『エントリーナンバー2!不思議の国プルリラ最後の姫!彼女の魔法は解析不能!【
「この多重翻訳機、翻訳できない名詞を無理やり意味当てはめて翻訳するのやべぇな」
「私はー、この方が好きですがー」
「正気かよ」
『エントリーナンバー3!森の中で熟成されたエルフの魔法!機体は全て木製という古く新しさ!【
「最近開拓した森にいたエルフか」
「植物に干渉する魔法がすごいらしいですなー」
『エントリーナンバー4!科学の都テルヴィアから大魔導協会に殴り込み!いつもは散々だが今年は凄い!【
「一切翻訳の意味がわからんのだが」
「高性能過ぎる翻訳も考えものですなー」
『最後にエントリーナンバー5!くだらねぇもんに最高の技術を注ぐな!前回の優勝者、ローパル・ナットの【
「この紹介文考えたの誰なんですー?」
「所長だ、俺を見るんじゃねぇよ」
『以上が今回の参加者だ!賭けはお手持ちの
「どこに賭けようか」
「自身の所属陣営には賭けられぬー」
「そうなんだよなぁ、どうせ勝つのはお前だしよ、いっそのこと賭けない方がいいか?」
「ならばうちに賭けるといい!」
「あなたはー、たしかテルヴィアの」
「そう、今大会のダークホース、テルヴィア第八科学研究所、第一魔法技術研究室室長、ウナ-ローンよ!」
この人が所謂普段やる気のない研究者の人ですなー。
「自分でダークホースとかは普通言わないだろ」
「そんなことはどうでもいいだろう」
この人もからかいがいがありそうな感じですなー。
「それで、何の用でー?」
「いやー、なんとうちの人気が思いの外低くてね、なんと70倍だ」
ちなみにー、ビーンデローンは186倍ですねー、エルフのが23倍、プルリラが3倍、うちが1.3倍ですー。
「それでもだ、うちは今回のレースに相当な自信がある、うちに賭ければ大もうけできるぞ?」
「私が普通に勝った方が儲かるのでいいです
ー、ノルノ、とりあえずビーンデローンに賭ければいいんじゃないですかー?」
「さすがにそれは金をどぶに捨てるようなもんだろ」
「で、うちに賭けるのかい?」
「いいよ、あんたんところに賭けてやるさ、どうせ勝つのはうちのナットだからな」
「たいした自信だね、じゃあ、勝負と行こうじゃないか」
確かー自分に賭けられたお金は勝つと何割か貰えたはずー。
まーそういうことなんですなー。
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