第58話:ルルニア=ローテルⅢ〜長期休暇の過ごし方〜
今週は休みをもらった。
しかし、休みを貰ったとして何をしようか。
普段の1日の休みだと体を休ませるのに1日使ったりしてしまうが、流石に一週丸々休みでそんなことをしては逆に体が腐ってしまう。
「ロボ、普通の人の長期休暇の過ごし方ってどういうもの?」
「私はその問いに対する答えを私の中に持ちませんロボ、ロボですので」
「普通の人の休暇中の記録をグローバルネットで検索、そして統計を作成の後、私に合った休暇プランを作成して欲しいってことですよ、察しなさい」
ロボの扱いにも大分慣れてきましたよ。
「お言葉ですがマスター、所謂マスターの定義する【普通の人】の休暇記録によれば、長期休暇は【友人】と遊んで過ごすものだと、統計の結果には出ました、友人のいないマスターには、【普通の人】としての【普通の休暇の過ごし方】は適合しない可能性が非常に高いです、具体的には97%の確率で適合しません、ロボ」
「失礼な、私にも友人くらいいますよ」
「ほぉ、例えば?私の知覚しうる範囲でお願いします、ロボ」
「たとえば、えーと、うちの所長とか」
「マスター、一般的に上司は友人のカテゴリに含まれません、職場以外で趣味の時間を共に過ごした経験もないでしょう?ロボ」
「むむむ、いいです!あなたは私の休暇中も働いてなさい、私はあなたの知らない友人に休暇の相談にいきますから!」
「その友人を紹介していただきたいのですが」
「ロボなんて知りませんー」
ロボは職場に行かせて私は件の友人のところへ行く。
カランカランとドアベルが鳴る、存外私はこの音が好きなのだが、あまり頻繁にここを訪れているわけでもない。
「いらっしゃいませ、あら、ルルニアさんじゃないですか、お久しぶりですね」
「ずっと忙しいですからね。それはそうと、貴女を私の友人と見込んで相談があるのですが」
彼女は私の友人なのだ、誰がなんと言おうとそう、ロボが友人の定義とはとか持ち出してきても構わないくらいの友人なのだ。どうせ今ここにロボはいない。
「はぁ」
「長期休暇ってどう過ごせばいいんですか、あと注文はピルルを」
「長期休暇ですか?そうですねぇ、旅行に行ってみたりとかどうです?いろんな国や街を巡るのは楽しいと思いますよ?」
メーティカはピルルを用意しながら答える。
旅行、世界中の国々を巡る旅か。
「はぁ」
ため息が出る、こればっかりは仕方ない。
「あ、あれ!?どうしたんですか?旅行になにか嫌な思いででも?」
「そいつは、転生してきた、ばかりの頃に、全ての国を、巡ってるの」
「よく知ってますね、どこかの情報ページにでも載ってましたか?」
「それは、知らない」
「相変わらずどこで仕入れたか分からない知識ばかり持っているんですねあなたは。
まぁ、そんなことを過去にやっているので、旅行っていうのも、あんまり気乗りしないんですよね。ところで、メーティカさんは休暇ってどんな過ごし方してるんですか?」
「休暇ですか?そうですねぇ、」
そこまで言って固まった、なんだろう、答えにくい質問でもしてしまっただろうか。
「この喫茶店の、定休日、知らない、よね?」
そういえば知らない。
「このお店は、年中、無休ってやつだ」
「そんな、私よりも休みないじゃないですか」
「そんなこと言っても、常に開店休業状態ですから、毎日休暇みたいなものなんですよ」
「結局、買い出し程度、しかこの店から、出ないから、休みの、過ごし方、なんて知らないよ」
「いーえ、そんなことないですよ、このお店にはこういうものも置いてあるんですから」
メーティカさんが取り出したのは雑誌、いろいろな情報がのっている女性向け情報紙というやつです。
「今の今まで、忘れてたのに、ね」
「そういうことを言うんじゃありません」
あ、叩いた。
そういえば、この喫茶店はそういうルールがありましたね。
「それでですね、この雑誌にはレジャー情報とかも載っているんですよ、最近人気なのだと、巨大ロボット演習体験とか楽しいらしいですよ」
「本当にそれ、女性向けの雑誌なんですか?」
「あ、これは男友達と行くレジャーですね」
男友達もいないし、巨大ロボットってあのロボとどう違うんだろうか。
「あと、一人で行くのだとこれですかね、レビテーションエステ、浮遊魔法で楽しくスリムにですって」
「あんまり、そういうのは興味ないですね、レビテーションは楽しそうなんですけど」
「確かにルルニアさんはスタイルもいいのよね、エステ系は無しね」
こんな感じで、雑誌などを見ながらいろんなアイデアを出しては見るものの、いまいち私には合わない気がして、行ってみる気にはなれない。
そんなこんなしていたら日が衰え、暗くなってきたのでまた明日と、今日のところはお開きになった。
何だかんだで休暇中ずっと【フォーレトルーン】に通ってメーティカさんといろいろな話をしただけで長期休暇は終わってしまったが、こんな休暇も有りですね。
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