第52話:皇勇人Ⅳ〜異世界の風呂事情〜
公衆浴場か。
最近は少し魔物を狩るのにも慣れてきて、少しずつだが収入を得られるようになってきて、今はギルドへ寄った帰り道、気になった看板に書いてある文字を調べながら読んでいると、公衆浴場を見つけた。
いや、まぁ風呂は日本でもよくある風呂が支給された住居に備え付けられていて、最初は浴槽とシャワーがある風呂場というのがこの世界での標準かとも思ったのだが、メーティカさんに聞いた話、生まれの世界によって最初に支給される家の造りが調整されているため、俺の家には日本式の風呂が備え付けられていたということらしい。
そして、この公衆浴場という施設、当然異世界の風呂文化による物なのだろう。
気になる、よね。
魔物と戦い、汗もかいていたため、今日の風呂はここで入っていくことにしよう。
外観はのっぺりした白い、材質はなんだろう、何て言うかSFチックな継ぎ目の無い謎素材で作られている。
これは、中もSF的なこう、お湯の球体が宙に浮いていて、それの中で浮遊するタイプの風呂を期待したい。
この世界での建物の外観と内装には結構な差があることはわかっているが、昔映画で見たような宇宙船の風呂を想像してしまうのは仕方ない。
内装も外観と同じように白一色で統一され、空間拡張をしている雰囲気でもない。
これは、どんなSFな風呂に入れるのだろうと期待して進むと、青白い大きな炎、熱は全く感じないが、炎が並ぶ部屋に着いた。
並ぶ炎の回りには人が服を着たまま、椅子に座って談笑していた。
どうやら、この浴場はこういうものらしい。
熱を持たない炎に当たり、汚れ等を浄化してしまう設備のようだ。
この文化で育った人の家には この炎を発生させる装置が備え付けられているのか、幻想的だし、インテリアとしても優秀なのではないか。
期待とは違う形だったし、湯で汗を流すという爽快感も無かったため、家に帰ってからシャワーを浴び直した。
数日経ち
ギルドからの帰り道、今日も公衆浴場に行ってみることにする。
最近は魔物を狩った帰りに、様々な公衆浴場に行ってみることにしている。
この世界、様々な世界の文化が入り交じっているだけあり、様々な風呂を体験することができた。
特に面白かったのだと、肉体を透過する液体のプールに飛び込み、汚れだけを抜き取るという風呂だ。
体内に溜まった汚れも溶かして抜き取ってくれるらしく、健康にも良いと言う話だ。
さて、今日の風呂はどんな風呂だろうか。
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