第43話:ユート‐サムニ〜家を作る人〜

 この世界に来た時に与えられる家は画一的すぎて良くない、そう常日頃思っていた俺は自分の家を作ることにした。

 超化学だろうが超魔術だろうが何でもありなこの世界だ、設計図を書いて建築マシンに放り込めば大体なんとかなる。

 そう思ってたんだけどなぁ。

 そんな考えで最高の自信をもって設計した家は画一化された家の100倍ダサい家になった。

 これを設計したときの俺は何を考えていたのだろう、酒をのみながら設計したのが悪かったのだろうか、なんでこの家はキッチンばかり三つもあるんだ、俺は料理なんてしないぞ。

 さらにだ、玄関を開けるとすぐに上って下りる岳の謎の階段が存在するし、トイレのドアは便器に引っ掛かり開かない、そのトイレも二つ目のキッチンの真横にあるし、三階建てなのに二階には階段しかない。

 極めつけは四方棚がならんで、入れない部屋が四つだ。

 何がどうなったらこんな頭のおかしいとしか思えない家になるんだ。


 ええい、リベンジだ!今度は酒など飲まずに、真面目に設計するぞ!


 真面目に設計した結果、わかったことは俺には家を設計するセンスがないということだ。

 確かに元の世界で建築家などをしていた訳ではないが、もっとうまく作れると思っていたのだが……

 しかし俺はこの程度では諦めない。

 センスはなくとも知恵でカバーだ!

 まず、元の世界で建築を生業としていた人を探す、あらゆる世界から転生してくる世界、建築家などすぐ見つかる。

 役場に届け出を出したら三日ほどで連絡が来た。

 普通はここで、プロの建築家に仕事を依頼したりするのだろうが、そこのところ俺はひと味違う、建築家に家の設計のノウハウを学び、自分好みの最高の我が家を作る、それが、俺の目論見だ。

 その話をしたら建築家の人は苦笑いをしていたものの丁寧に教えてくれた。


 そして、何日もかけて設計のなんとやらを学んだ俺の最新作、ニュー我が家だ!

 なんだこの家、確かに理にかなった造りなのだろうが、全く面白味がない、なんか違うんだよなぁ。

 俺の理想の家造りはまだまだ終わらない。

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