第30話

  四

 男たちの姿が見えなくなると、ひょいと物陰からお花が現れた。

「時太郎、大丈夫?」

「お花! ひどいじゃないか、さっさと自分だけ逃げちまうなんて!」

「御免ね……」と、お花は時太郎に並んだ。

「あいつら、やっぱり変だ! 山菜採りなんて口から出任せの嘘を言ってるけど、ほかに何か狙いがあるんだ!」

 時太郎の言葉に、お花は大きくうなずいた。

「あたしも、そう思う。ね、やっぱり、ここは長老さまに相談したほうがいいよ」

「長老さま」とお花が口にしたので、時太郎は目を丸くした。

「長老さまに……! 本気か?」

 お花は、こっくりとうなずいた。

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