第7話 昨夜の森の影
こちらへ来る。
ナリアさんが素早く駆け、叫ぶ。
「私が受ける!」
ぎりりと耳障りな音が前方から風に乗って届いた。焦げ臭いにおいはきっと枯れ草が焦げた匂いだろう。
先ほどより見通しがよくなった草原に見える二人の姿。相手の姿が、ナリアさんの影からであるが確認できる。
間違えようもない。
あの独特の
「…どけ、女。…ライド!お前を殺す!俺の刃で!!」
「ライド君、あぶない!!」
ナリアさんの
「ここで何してるんだ」
それは、
「こっちの
かつてのライバルと
「ちっとは信じた俺もバカだったな。
「…!?どういうことだ?」
「白々しい!裏切者のくせに!」
「面白いねぇ。ファンになっちゃおうかな…新しいおもちゃを手に入れたみたいにわくわくするよぉ。森の中で見つけてよかったぁ」
彼女がこう言っているのには
「ああ…いい
暗い森の中。
「つまらないね…
体をくねらせ、
「ううむ。今度は違う匂いだね…すぱいしーな香り…」
木の裏から
「あら」
そこへ一人の旅人が。黒い衣をまとい薄汚れた帽子を深くかぶった、これはまた奇妙な少年だ。
「あらあらあら…まあ」
振り返ろうともしない少年が気に入ったようで、大きな杉の木に腰かけてくつろいだ。
その
そして何かに思い当たったようで、首をひねって何かを
「なぁんだろうねぇ」
今度は旅人の前で後ろ歩きをしながら、旅人の顔を
ぽよん、ぽよんと弾力がある
「このへんてこりんな魔法!面白いわ、発動から時間がたってもこんなに定着してるなんて…」
観察に夢中な彼女が
「あらま。あれはリリ様の
それは、ナリアの住まいで眠る少女リリの事だ。
「いいことを思いついちゃった。ククク。楽しそう。イタズラしちゃお!」
後ろから旅人に
「フフ…もーっと面白くなりそう」
そういって夜明けの光を浴びる
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