無力な僕

あの人には 敵わない

あの人なら きっと


凍りつく様な冷たい夜

その痛み 僕に伝えて

針葉樹には

引き裂かれた 記憶の跡


残像に手を伸ばす

あなたはもう何処にも居ない

同じ傷を持つ あの人の胸で眠るの?

愛を知らないのは あなたではなく僕の方

その目で探すのは 僕ではなく

きっと


あなたの声が心臓に絡みつく

何時もの笑顔で 僕を縛る

無邪気に差し出す その手で

いっそ 壊してくれたらいいのに


まるで合わせ鏡の様

僕には「解らない」

唇合わせるより 確かな方法は

あなたが望んだ 自由に近づける

その傷 癒えるなら


目を閉じた あなたの横顔には 安らぎ

何も言えず僕は 唇噛んだ

初めて見るあなたに 戸惑う僕は

あの人には敵わない


あの人なら


きっと……

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雪の華 雪華 @kira-kira-kuroneko

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