第1062話「退路も未来もない」

「ありがとう、心から感謝する。妹を救ってくれると信じていた。相応の謝礼は用意させてもらおう」


「妹か……。話はユノンから聞いていると言っても、妹と言うか?」


「ああ、ユノンは妹だよ。君ならわかるだろ? 妹というのは必ずし血のつながりがなければならないということはないってことをね。ある意味その方が、関係性に魅力を感じはしないかな?」


「認めるか……俺の同じ世界、それも日本から召喚された……」


「当たっている……、と言いたいところではある。あるんだ……この世界に召喚されたわけではなく、目が覚めたらこんな世界になっていた。それが答えだ」


 俺は驚きはしなかった。

 寧ろ、ある一つの仮定を確信に変えた。

 それは残酷で、もう退路も未来への希望も奪い取られた事を暗に知らしめることとなった。

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