第972話「失うことと取り戻すこと」

 ディアナの張った結界が意味をなさず、人の手が触れただけで光の粒子となって存在を抹消された。

 そこには恐怖だとか苦しみだとかそんなものはない。

 ただ存在がなくなることがどういうことかを身をもって退官したに過ぎない。


「ディアナーーーーーーーーーーーー」


「どうして……、何が起きてるの!?」


「何もわからないにゃ!?」


 仲間の死を前に理性なんてものはない。

 ただ事実だけが、存在している。

 姿をみせられてなお、何かができるなんて思いはしない。


 だが、この異常な力を持つものを倒すことでディアナを救うことができるのではないかと安易に思ったのだ。

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