第917話「呪いの対象」

 呪いなどと回りくどい真似をしてでも俺たちの戦力を拡充する狙いを持って行動している者がいる。

 そこに巻き込まれたこの国も、いわば被害者といっても良いだろう。

 しかし、それに対して俺たちが責められることはなかった。


 無論、術者との関係がない国王であるから事実を知らないこともあるだろう。

 それでも恨み言の一つもないことに違和感は感じる。

 今、問い詰めなければ二度と聞き出せない可能性があるというのに絵安打言葉は違っていた。


「どうすれば呪いが解ける?」


「目を覚まさないと言っていたけど、呪いの本質は魔力の枯渇にあるのはわかっている。ユノンが命をつなぎとめたのは、おそらく君の仲間の治療によるものだろう。君たち全員の魔力をユノンに注ぐことだ」


「そんな、ことをしたら!!」


「それしか方法はない……なぜならユノンの魔力そのものに呪いがかけられているのだから」


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