第875話「繋ぎとめられた魂」

奴隷として少女と契約を結んだことで、義務を架せられた。

 奴隷の命は俺の中にある。

 主の命令は絶対である。


「死ぬな!!」


「……ッ」


 今、確かに少女がピクリとはねた。

 それは一瞬のこととはいえ確かにこの世界に魂が繋がれたことを意味している。

 命令とはいえ、実現不可能なことを行うことは現実的には不可能である。


 それなのに肉体が反応したのは、完全ではない場合実現可能な限界の値まで命令を遵守することの証明であった。

 魂は確かに肉体につながれているのだから、人間の体は完全に息絶えるまで贖い続ける。

 生きた数億、数兆の細胞により構成されているからこそすぐに終わりはしない。 



 




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