第864話「国王と奴隷商人の陰謀」
おそらくこちらの素性はある程度情報を得ているのは間違いない。
こちらの手札は筒抜けだというならば、せめてその情報を過去のものにできるだけの思考を巡らせなければならない。
優位性というものはもともと持ち合わせている情報だけで成り立つものではない。
時間の経過でも変わりゆく程度のものだ。
それでも事前情報の有無は戦況を左右うることは揺るがない事実である。
「勇者様に不利益は一切ありませんよ。それでもこの取引が成立することの意味を理解できない勇者様ではないでしょ?」
「胡散臭いと言っているんだ。お前に何のメリットがあるんだ? 薄っぺらい詭弁など求めてないと言っている」
「この国の王が私に依頼しましたと言ったところで信用してはいただけないでしょうね。ですがそれが事実です。それを敢えて申していることで私はあなた様の信頼を得られると思いますが、どうでしょう」
奴隷商人のイメージと国王の依頼であることを明かす危険性はデメリットこそあれ、メリットはない。
こちらが奴隷にマイナスイメージがある以上、国王の侮辱ともとれるからだ。
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