第859話「同情はしない」

「俺は同情していると言っておく。その意味はわかるだろ?」


「憐れむな、同情するななんて言わないし思ってもいない。それがあたしの境遇であることは変わらないんだから。情けをかけられたくないなら、結果で示して見せる」


「いつか、昨日までのことを思い出すことがあったら起こるべくして起きた出来事だと割りきっているだろう」


 きれいごとでも何でもない。

 人間はだれしも平等ではないのだ。

 運動が得意なものがいれば、苦手なものがいるように生まれながらに不幸を背負っている人間はいる。


 だからと言って、それに気づいていながらに認めないことはその境遇に甘んじていることを意味する。

 皆、他人を慮ることで有意性を保っている。

 

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