第724話「これが答えなの?」

 もう何度味わっただろう。

 終わってしまえば空しい。

 何もない。


 虚無。

 バニティーが何者かもわからず、真意も聞けず失って思ったことは悲しみ。

 俺はバニティーの死を前に何者であるかなんてことは考えもせず、叫んでいた。


 結局、どれだけ極悪非道な人間であったとしてもそれを決めるのは接してきた人間である。

 その答えは俺は知らない。

 しかし、しっていた。


 否、思い出した者がいた。

 今でこそ、状況を呑みこむことができていないが全ての記憶を思い出してしまった。

 彼女は今、後悔している。


 ここへ来なければ父が死ぬことはなかった。

 バニティーがやったことは間違っていたのだろうか。

 正しさとは何だろう。


「とりあえず、宿へ戻るぞ。とてもではないが、このまま街を歩く気にはなれない……情けないな」


「アマト……。殺す……。なぜ?」


 ユイナは今はどこかへ消えた黒騎士の真意を感じていた。

 それでもなお理解が出来ない。

 涙が頬を伝う。


「ユイナ? 大丈夫か」


「これが答えなの……」


「ユーニャ?」

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