第690話「放っておけるわけがない」

「確かに縁の武器を手放して困るのは俺達だ……。売りさばいたところで同等以上の品を買うのは難しいだろうな。だからと言ってお前の好き勝手な要求を呑んで俺達にメリットはないのもじじつだろ? 一方的に自分の意見だけを通そうっていうなら、快く強力なんてできはしない。協力をする振りをして後ろから……なんてこともあり得るってことだ」


「本気で殺るつもりなら言わないんじゃない? その甘さから付け込まれたんだろうってのは良く分かった。でも、その甘さを差し引いてもお兄さんが強いのは見ればわかる。悔しいけど、あたしじゃお兄さんには勝てない。だから、断るなら力づくでっていうのはできない……」


「断るつもりはないさ……。まあ、最初から面倒な奴に絡まれたとは思ったのは事実だけどな」


「あたしは最初から協力させるつもりだったけど、こんなにあっさりしてるならもっと早く返事すればいいのに。なんて、思ってても口にはだしたりしないけど」


「言ってるだろ。あの場所で手を組む話はできないだろ……俺達は見張られてて、お前も俺達と接触した以上無関係ではない。どの程度影響があるかはわからんが、少なくとも特になることはないだろう。下手をすればお前は消されるぞ?」


「無理やりいう事を聞かせようとしたあたしを心配してくれるんだ。勝手にいなくなってくれたほうが楽なんじゃないかと思うけど」


「俺たちのせいで消されたなんてことになったら、目覚めが悪いだろ」


 今の俺達に足りない物を彼女は持っている。

 

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