第686話「優しさは時として」
この世界はいったいどうなっているんだって思う。
次から次に厄介事が湯水のように湧いてきて、しまいには先日まで短いとはいえこの街まで道中を共にした者を殺すだ。
それても俺のしたことが間違ったのか。
「おい、大丈夫か!?」
とりあえず、目の前で俯き膝をついている少女へとを差し出す。
それを待っていたかのように、勢いよく腕をひかれる。
よろめき少女を押し倒す形となっていたはずだ。
だが、俺の事なんてまるで空気の入った風船でも受け止めるように軽軽片腕で止めてしまう。
無論、俺は風船ではないので少女の細腕で支えようとすればその流れから鳩尾にめり込んでしまうのはわかりきっていたはずだ。
痛い。
「うぐっ!!」
「優しいんだ!? だから、お兄さんは間違えた」
「……ッ」
耳もとで幼女が囁く。
それは俺の耳を通り越して、胸に突き刺さった。
俺は、彼は、人は、間違えた。
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