第665話「世界中敵に回しても」

 一国を敵に回すというには非力すぎる戦力である。

 国家戦力に勝るのは国家戦力だけだと言われている。

 それも元の世界での話であり、今まで出会ってきた者達ならば一人でこの国どころか世界さえ滅ぼしかねない。


 しかしながら、それが成せなかったのはこの世界にもそれを指せない抑止力があるからだ。

 拮抗しているわけではない。

 この不安定なバランスなんてものは誰もが容易に崩すことができる。


「アーニャなら何でもできるにゃ。やっつけてしまえばいいにゃ」


「あながち間違ってるとも言えんが、国盗り合戦がしたいわけじゃない。無駄な戦闘は避けられるなら避けるに越したことはないだろ? 無論、妙なことはしてくれるなよ」


「みゃみゃみゃ!! ミャーは何もしないにゃりよ!」


「みんな……悪いが目を離さないように見ていてくれ」


「なんだか、私も自信が無くなります。気がついたらいなくなるんですもの」


 ディアナの視線はルナへ向く。


「ボクに振らないでよ!! 僕だって……違うよ!!」


「何が違うって……。頼むからおとなしくしててくれよ」


 


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