第626話「他国の存在よ」

「わかってはいたが、プライバシーも何もあったものではないな」


 余計なトラブルを避けるためにも結界は解いている。

 それも致し方が無い事である。

 無論、やってやれないことはない。


 しかし、後ほどつまらないところで足を掬われかねない。

 ならば最初から最後まで敵意などないのだから、好きなように振る舞っておく方が無難である。

 少なくとも、まだこの国そのものを敵に回すつもりはないのだからおとなしくして億以上の事など無い。


 この時間では営業している店はないが、ある程度どのような店なのかはわかる。

 中でも貿易に関わる店ならばなおさらだ。

 陸続きに別の国と隣接しているというのならばなおさら重要なところである。


 幸いにも、手元にはこの国で自由に使える金銭を所持している。

 両替が必要ないことも手間がいらなくて助かる。

 無用にぼったくられるのも食に障るもで、リスクが無いことがこの上なく嬉しい。


 ならば次の目的も探りやすい。

 流れてくるが異界の紙幣を元に次の国を目指せばいい。

 この国も狭くはない。


 あくまで目的の一つなのだが、何もないよりはいいだろうって。

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