第608話「悪魔は皆、軽んじるべからず」

 陣形を崩すことなく走り続けているとはいえ、昨日の穴掘り移動に比べれば数倍の速さで駆けていた。

 それでも、すでに奴を見失ってからその僅かな痕跡すら掴めていない。

 まるで何も通り抜けていないように草木も変わりはしない。


 寧ろ、辺りを凍らせ破壊し突き進む俺達の方が余程自然に干渉している。

 つまり、この生い茂る自然の影響を顧みることなく進んでいる向こうの方が数段上手だということだ。

 俺達が束になってどうにかなるビジョンがまるで見えない。


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