第590話「みんな起きてるよ?」

 抗えない力があるとすればそれは脅威と言わざる負えず、予兆すら見据えて行動に移れないとあらば最早いついかなる時も死と隣り合わせであると言っても過言ではない。

 今こうして、生きていられるのも仲間たちのおかげであって自分の力などとは微塵も思わない。

 圧倒的な力があったとしても眠っていて目を覚ます事が出来なければないのと同じである。


 こうして皆一様に目を覚まし、無事に次の日を生きられるというのはささやかな幸せであり奇跡。

 それほどなでに一日の重みがまるで違う。

 充実しているなどという生易しい物ではない。


「アーニャ、寝過ぎなのにゃ。起きなかったらミャーが背負って行こうかと思ったにゃ」


「それもありかもな」


「にゃにゃにゃ!!!」


「冗談だ」


「もう、ふざけてないで早く行こうよ」

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