第582話「この世界は原理がある」

 最早暇つぶしの次元を超えた作業は地上であれば既に日が昇ってしまっているじかんまで続いた。 

 土で作った人形に魔力を流すことで、まるで生きているかのように動きだすのだから気分は高鳴って止まない。

 見てくれこそ煉瓦のような立方体を球体でつないだだけの拙い人形であるが、二足歩行で動き回るのである。


 森で見かけた巨人をイメージして土をこね、魔力で動かす。

 ただそれだけのことなのだが、簡単なようで難しい。

 関節を球体にしたのも角ばっていると引っかかって動かないからなのだが、その辺の些細なことでも不思議世界だからと原理を無視してはくれない。


 おのずとすべて許容されるわけではないことがわかってくる。

 、

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る