第528話「そして、元に戻るなら……海」

 ただユイナ達がいる砂浜へと走り抜けるだけだ。

 スペラを背負いいつ襲い掛かってくるかわからない海底を脱兎のごとくは走る。

 者の数秒だとはいえ、気が気ではなかった。


 完全に陸へと辿り着くのを確認したかのように同一のタイミングで海は元の形へと戻っていく。

 本来であれば際限のない勢いによってこの辺りも大波に巻き込まれるところではあるが、大波は愚かおよそ波と言うにはほど遠い漣が修復の為に申し訳程度に流れて見せた。


 そこには最早自然なことなど何もなかった。

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