第475話「陸か海か」

「アーニャ、向うの方に誰かいるにゃ。数は……沢山ニャ」


「敵か味方かわからない以上飛び出していくわけにもいかないな。見つからないようにどんな奴らか見てきてくれって……。できそうか?」


「任せておくにゃ。ついでに海の方から撃ってくるやつらも見て来るにゃ」


「見つかったら元も子もない。あんまり調子に乗って見つからないようにしろよ」


「泥船に乗ったつもりでどんと構えていればいいのにゃ」


 スペラは霧の中を音もたてず沈むようにすっと消えていく。

 

「しょうがないから、ボクも行ってくるよ。少しでも情報が多い方がいいでしょ。それにアマト君が思ってる通りだと介入するのは必至だと思うよ」


「わかった。もしもの時はスペラのフォローを頼んだ」


「了解。行ってくる」


 スペラの行った南東方向には行かず、北東から回り込むように飛んで行った。

 万が一スペラが見つかるようなことがあれば、別方向から陽動を仕掛けるか俺たちと囲い込みに参加するかとその役割は一つではない。

 そうなってしまうのは最悪の場合なのだから、速やかに戻ってきてもらわないと困るのだが。

 それはその時になってみなければわかりはしない、

 

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