第441話「不甲斐なき者に祝福を……」

 セオリー通りの動きをするとは限らないとはいえ、人であれ動物であれ利き腕が存在するように動きには癖がある。

 それは一種のルーティンワークのようなもので一定の法則が存在する。

 本人が意図して起こす行動でないのだから改善を図らないかぎり変化はない。


 右わき腹から胸にかけて内臓がめちゃくちゃにされたことで左利きだとわかった。

 幸いにも徐々に肉体派再生されているが、涙に視界がゆがむ。

 その先に見たくはない物が見える。


 次のターゲットユイナへと切り替え、今まさに腕を振り上げる瞬間がいまかいまかとやって来る。

 不意を突かれたとはいえまともに受ければただでは済まない。

 それは身をもって知っている。


 では身構えていれば対処ができるものか。

 必ずしもそうではない。

 一瞬のうちに最善の策を講じるができればよいのだが、最善でなくても次につながれば良い。


 失敗はそもそも次が無いのだ。

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