第431話「目に物見せるは……」

「ねえ、向う側に行くのにどれくらいかかるのかな。もしかしたら、何か月もかかるんじゃないかな」


「村を出たときは二、三日で着くと思ってたけど。実際に三日を過ぎた頃から一か月はかかるんじゃないかって思ったんだけど言えないよな。それ以上かかるかも何て」


「私も長い旅を覚悟はしてたからそんなに気にならなかったけど、首都がこんなに遠いなんて思わなくて」


「地割れなんてなかったらそのまま平地を突っ切ってすぐ着いたんだろうけど、もしもの話をしてもしょうがないしなぁ。兎にも角にもいつか地割れ野郎には目にものみせてやるさ」

 

 そのまま真っ直ぐに進めていれば後数日で着いていたはずなのだから、冗談ではない。

 それにしても平地から山の中を迂回して海まで行くルートにしただけで単純に、距離にして五倍以上遠回りを余儀なくされている。

 未だ、海にさえ辿り着かないまま日が暮れつつあった。

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