第407話「決断の時は近い」

 隊列を乱すこともなくスペラが先頭を行くバニティーの真後ろにつく形をとっていることに違和感を感じつつも、ディアナに任せているので俺が出しゃばるような真似はしない。

 後ろから何かあった時に三人で動けるようにだけ気を付けておけば良い。


「会った直後は違和感なんてなかったってのに、やっぱりおかしいよな。俺の勘違いで済ませる話でもないし。何よりみんな気がついていながら、当の本人が何のアクションもないってのはないよな」


「あれって誘ってるのかもしれないよ。態とボクたちにプレッシャーをかけてるんじゃないかな。そうでなくちゃ、何の嫌がらせなのかわからないよ」


「どうするの?」


「ディアナがスペラを見ているうちは様子見だな。まあ、原因がはっきりしないうちは我慢するしかないさ。どうも、裏がある気がするんだが……」


 何か重要な事に気がついていない気がする。

 嫌悪感というものは払拭させたい衝動に駆られるものだが、その方法を誤ればいつだって取り返しのつかない事になる。

 

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